日本翻訳連盟(JTF)

JTF日本語スタイルチェッカーと正規表現の基礎

2015年度第4回JTFスタイルガイドセミナー報告
JTF日本語スタイルチェッカーと正規表現の基礎


西野 竜太郎

翻訳者/ソフトウェア開発者、IT分野の英語翻訳者でソフトウェア開発者。JTF標準スタイルガイド検討委員。情報システム学修士(専門職)。『アプリケーションをつくる英語』で第4回ブクログ大賞(電子書籍部門)を受賞。雑誌記事に「Learning localization in context」(MultiLingual誌 2013年12月号)など。
http://www.nishinos.com/


新田 順也

ブログ「みんなのワードマクロ」管理人。米国カリフォルニア大学バークレー校工学部修了。エンジニアリング会社に5年勤務の後、特許事務所に翻訳者兼特許技術者として6年間勤務。2011年に独立。翻訳の傍ら、個人・法人(特許事務所、翻訳会社など)向けにセミナー、ツール開発、コンサルティングを実施。Microsoftが優れた技術者に授与するMicrosoft MVP を2011年から毎年Word部門で受賞。
http://ameblo.jp/gidgeerock/ 

 



2015年度第4回JTFスタイルガイドセミナー報告
日時●2015年4月24日(金)14:00~16:30
開催場所剛堂会館
第一部テーマJTF日本語スタイルチェッカーと正規表現の基礎
登壇者西野 竜太郎  Nishino Ryutaro  (翻訳者/ソフトウェア開発者、JTF標準スタイルガイド検討委員)
第二部テーマスタイルガイドのカスタマイズ実習講座~ワイルドカードを徹底活用~
登壇者新田 順也 Nitta Junya(ブログ「みんなのワードマクロ」管理人)
報告者熊谷 玲美(個人翻訳者)

 



 4回シリーズの「JTFスタイルガイドセミナー」の第4回では、スタイルガイドに基づいたチェックのプロセスを、チェックツールで自動化する方法を学んだ。参加者の多くがノートパソコンを持参して、チェックの実習を行った。

JTF日本語スタイルチェッカーと正規表現の基礎(西野氏)

 「JTFスタイルチェッカー」は、テキストが「JTF日本語標準スタイルガイド」の表記ルールに従っているかをウェブブラウザ上でチェックできるツール。手軽に使えるが、文脈判断が必要な項目の検出など、「できないこと」もある点に注意してほしい。

 オプション機能のうち、「C.ユーザー入力の検索文字」は、検索ツールのように使って、自分のチェックしたい項目だけをチェックすることができる。個人翻訳者なら、間違いやすいチェック項目をテキストファイルにまとめておき、納品前にこのオプションを使ってチェックするといった活用方法が考えられる。

 このオプションでは、正規表現を使って文字や、文字の集まりを検索できる。セミナーでは参加者が「JTFスタイルガイドチェッカー」を使用し、正規表現で「全角の数字とアルファベットが残っていないか」「カタカナ語を抜き出す」などの項目をチェックする実習を行った。

スタイルガイドのカスタマイズ実習講座~ワイルドカードを徹底活用~(新田氏)

 Wordで動く翻訳チェックソフト「色deチェック」や、マーキングソフト「蛍光と対策」を活用すれば、項目数の多いスタイルガイドをより簡単に活用できる。こうしたツールには、JTFスタイルガイドの1300のチェック項目がExcelファイルで同梱されている。チェック項目をExcelファイルにて管理し、対象のWord文書の該当箇所にマークとコメントを付ける。チェック項目の条件式にWordのワイルドカードを使えば、より高度なチェックが可能になる。

 よく使われるワールドカードの検索式は、暗記するのではなく、コピー&ペーストやIME登録をお勧めする。今回のセミナーでは、Wordの「検索と置換」機能を使ったワイルドカード検索の実習を行った。ワイルドカード検索のコツは、一度で問題を解決しようとしないこと。広い範囲をカバーする検索式を、試行錯誤しながら探していく必要がある。
 
[セミナーに参加して]チェックツールは万能ではなく、どちらのツールでも、広めの範囲をチェックすることで、漏れをなくすことが重要だということを実感した。ツールの特徴を理解し、自分の仕事にもうまく取り入れたい。
 


 

共有