日本翻訳連盟(JTF)

3-A 翻訳者のためのOffice製品の活用術 ~便利機能やショートカットキー、アドインを紹介~

新田 順也 Nitta Junya

ブログ「みんなのワードマクロ(http://www.wordvbalab.com)」管理人。Wordアドイン開発者、翻訳者、セミナー講師。米国カリフォルニア大学バークレー校工学部修了。エンジニアリング会社と特許事務所を経て独立。翻訳会社、マニュアル制作会社、特許事務所等々のクライアントにWordの設定やWordマクロ活用のコンサルティングを実施。ブログにてWordで翻訳をする方法やWordマクロを活用した翻訳の自動処理などを紹介。Microsoftが優れた技術者に授与するMicrosoft MVPをWord部門で2011年以降、毎年受賞。代表ソフトは、Wordで動く翻訳チェックソフト「色deチェック」。


報告者:眞鍋弓月(フリーランス翻訳者)
 



 このセッションでは、Microsoft OfficeのWord, Excel, PowerPointの3製品を、翻訳者が仕事に活用する上で、便利な機能や使い方のこつなどの紹介があった。紹介した内容は多岐に渡るが、主に3製品で共通の機能を中心とした。誰にでも使えるごく簡単なものから、多少の知識を必要とする中上級者向けまで、幅広く紹介したので、出席者は、みな何かしら学んで帰れたのではないかと思われる。講演会場には机がなくメモは取りにくいが、紹介された主な内容は配布資料にまとめられていた。また、新田氏の開発したツールの簡単な紹介があった。興味のある出席者は、ダウンロードしユーザー登録をすれば、使用することができる。

PowerPointを用いた自己紹介

 「わー、どうしよう=Wordしよう!」を仕事にしている。日々の作業をしていて困ったことがあった場合にお手伝いできることがないかと思い、アドインの開発を行っている。Wordを主にあつかっていたが、ExcelやPowerPointでの依頼もあるので、そちらも手掛けるようになった。

基本の考え方

 私たちはツールの専門家ではなく、翻訳者なので、ツールの使い方を学ぶのに時間をかけすぎるのはもったいない。基本は訳文作成に集中することが大事で、できる範囲で必要な機能を使いたい。
 そこで、効率的に使い方を学ぶために、以下の3つのことが重要になる。まず、ツールの仕組みをある程度理解すること。専門家ではないので、全部理解する必要はない。次に真似をすること。特に同業者から学ぶと効率が良い。最後に目的を意識すること。個々の機能を学ぶというよりはどうやって、自分の行いたい作業ができるかを学ぶことが大事になる。
 たとえば、本日使用しているスライドは、PowerPoint2016新機能である「ズーム」を利用して作った。アニメーションを使わずに印象的な効果を簡単に実現することができる。このスライドは内容を決めるのを含めて一時間ぐらいで作成したが、PowerPointの専門家でない私が短時間で作成することができたのは、既存のテンプレートを使用したからである。市販の書籍についてきたテンプレートに文字を入れただけ。全てをマニュアルで学ぶと難しいが、真似をすれば簡単にできる。テンプレートをみて、どのように文字や画像が入っているか見るだけでも相当な学びになる。
 Wordの使い方については、Wordを使っている同業者から学ぶのがよい。機能を学ぶというよりは、機能をどのように組み合わせて使っていくのかを学ぶのがすごく重要になる。今日は、私がどういう風に使っているのかをご紹介し、ヒントを持ち帰っていただきたいと考えている。パソコンの動作を一つ一つ記憶するのはとても難しいので、どんな風に動いたかを目で追って行ってほしい。それ以外では、どんな目的でどんな組み合わせをしていたかを見ていただくと、わかり易いかと思う。
 時間のない時にチェックをするためのツールや技があるのでいくつか紹介したい。(報告書中では講演中に紹介された中の一部のみをご紹介する。)

ツールの紹介

 ExcelとPowerPoint用の自作のマクロ集(http://www.n-i-t.jp/honyakusai_20171129_dl.html/ よりダウンロード可能。)のデモをExcelで行う。
 たとえば、たくさんのシートがある案件で、全角数字がNGであったとする。このツールを用いれば、すべてのシートにおいて、全角数字を一気に半角に変換することができる。ツールの特徴としては、色以外の文字書式をそのまま残すことができる。また、処理した文字が着色されるので、どこを変換したか、目視することができる。
 他に、NGワードを着色するツールもある。使用する際には、NGワードを事前にリスト化しておく。そのファイルを読み込ませることで、それらのNGワードに色をつけて可視化する。その後、可視化された文字を目視で確認していく。
 自作ツール以外にも、いろいろと便利な機能が増えるRelaxTools Addin for Excelという無料のアドインがある。たとえば、テキストボックスの中の置換もできるようになる。ただし、このツールで文字を全角や半角に変換した場合には書式が維持されない。このように翻訳者の仕事には向かない部分もあるので注意が必要だ。

ピン留め

 例えば、Word 2016でファイルを開くときに、『最近使ったアイテム』のリストが出てくるが、ファイル名の右端にピンが横になったマークが出てくる。それをクリックすると、ピンが縦になりピン留めでき、常に上部に表示させることができる。この機能は、アプリケーションやバージョンによって若干方法の違いはあるもののOfficeの共通機能である。また、Office以外のアプリケーションでも、ピン留めすることができることも多い。非常に便利なので、他のアプリケーションでも試してみてほしい。

同一ファイルのウィンドウを複数開く

 [表示]タブに、[新しいウィンドウを開く]というボタンがある。これを使用すれば、1つのファイルに対して、複数のウィンドウを開くことができる。Excelの2つのシート、Wordの別ページ、PowerPointの別スライドなどを、並べた2つのウィンドウ上で比較することができる。元のファイルは同一なので、どちらのウィンドウ上で修正しても、両方のウィンドウ上で反映される。ウィンドウは3つ以上同時に開けることもできる。

『おせっかい機能』の回避

 Excelでは、日付のように見える数字を勝手に解釈して、セルへの入力した数字を別の値(シリアル値)に変換し表示形式を日付に変更してしまう。例えば「11/29」と入力すると、「11月29日」という表示になる。回避には2つの方法がある。1つ目は表示形式を文字列に設定する方法で、もう1つは数字の前にシングルクォーテーションを入力する方法。先頭にシングルクォーテーションを入力すると、その後の数字は文字列として扱われるので、「’11/29」と入力すれば、「11月29日」に変換されることなく、「11/29」と表示される。

ショートカットキーの紹介

 便利なショートカットキーはいろいろあるが、そのうちのいくつかを紹介する。基本的にはOfficeの3製品で共通。ただし、Excelのセルの中だけは扱いが代わるので、ショートカットキーも若干変わる。
 よく使う機能はショートカットキーを使うと良い。翻訳者としては、文字入力の際にできるだけキーボードから手を離さずに操作するのが大事だが、ショートカットキーを使うことにより、それを実現できる。

フォントサイズ変更:[Shift]+[Ctrl]+[>]または[Shift]+[Ctrl]+[<]

元々のフォントのサイズが違っていても同時に変更できる。

Excelのセルの書式設定:[Ctrl]+[1]

ダイアログが出るので、そこから選べる。また、かっこの中にアルファベットが書いてあって下線が引いてある場合は、[Alt]+[アルファベット]がショートカットキーになる。これは、パソコンの仕組みなので、アプリケーションにかかわらず共通。

書籍の紹介

 配布資料におすすめ書籍が書いてあるが、そのなかで「外資系金融のExcel作成術(慎泰俊著)」がおもしろい。Excelをどういう風にとらえて、どう使うかというのをルール化し、効率的な使用法の事例が載っている。また、「外資系」+「Excel」+「動画」で検索すると、実際に他の人がExcelを操作している動画が見つかる。エクセルのショートカットキーを駆使して、セルを選択して、横に列を入れて、コピーしてとかいう作業をどんどんこなす様子をみることができる。効率的に仕事をする人が、実際にどれぐらいの速さで作業を行っているかをリアルに見られるので、参考になると思う。全部をまねる必要はないが、ヒントにはなると思う。

質疑応答

Q1:HTMLを全部選択して、Word上でペーストすると、テキストボックスもしくはテーブルとしてペーストされてしまう。
A1:具体的なファイルを見ないと回答できないので、ファイルを拝見した後にブログ(www.wordvbalab.com)上で返答する。

Q2:Word上で上書きにより英文和訳をする際に、脚注は翻訳の必要がない場合がある。しかし、脚注に英語が残っている状態でスペルチェックをかけると、日本語ではなく英語でスペルチェックが行われてしまう。言語設定を変えても、英語にもどってしまう。
A2:この質問も、後ほどブログ上で返答する。

Q3:日本語の校正はどうしているか?
A3:Just Right!を使う人が多いと聞くし、自分でも使用している。

Q4:Excel上で翻訳する際に、数式バーでしか作業ができないのが不便だが、対応策はないか?
A4:セルの上で、F2を押すことにより、セルの中で編集することができる。また、数式バーにカーソルを合わせると⇕が表示され、⇕をドラッグして数式バーを広げることができる。

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