勝田美保子元会長のご逝去を悼んで

株式会社十印の創業者であり、同社名誉会長の勝田美保子氏が、2021年7月20日にご逝去されました(享年93歳)。勝田美保子氏は日本翻訳連盟の創立者の一人であり、1988年から会長職を9期18年間務められました。今年、連盟創立40周年を迎えることができたのも、勝田元会長が当連盟ならびに翻訳業界の健全な発展に貢献いただいた賜物とたいへん感謝しております。

特に、1989年に「世界翻訳の日」を祝う記念行事(現在のJTF翻訳祭)を始められ、1990年には通商産業省(現、経済産業省)の認可を得て、任意団体から社団法人への移行に尽力され、初代代表理事・会長に就任されました。また、翌1991年には、故長尾真京都大学名誉教授が創立した機械翻訳協会(現、アジア太平洋機械翻訳協会)へ加盟するなど、新しい翻訳技術の動向にも強く関心を持ち、将来の翻訳業界を先見し、先頭に立ち牽引されてきました。2006年には、翻訳者の資格認定試験JTF<ほんやく検定>の年間受験者数が1200名を超えるまでに、翻訳技量の資格認定試験の普及に尽力されました。

会長職を退任後も連盟主催の各種セミナー、JTF翻訳祭等に参加されるなど、積極的に参加者や委員との交流にも努められ、「がんばりなさい」といつも優しくにこやかに励ましのお言葉を頂戴してきました。また、2018年に京大・芝蘭会館で開催された第28回JTF翻訳祭2018の交流会にて、勝田元会長と故長尾先生が壇上で握手を交わされたのが微笑ましく、特に印象に残ります。創立40周年という大きな節目の年に翻訳・通訳業界への提言や励ましのお言葉を頂戴できないことをとても悲しく思います。

しかしながら、今後、連盟が経験したことがないことに遭遇して困ったら、勝田元会長の自伝(日本翻訳連盟の機関紙JTF ジャーナルに収録)の中で語られているように、「自分ひとりの力で対処できない課題を抱えてしまったら、周りにいる人の力や知恵を借りて解決し、それを体験することで、人間的にも成長できる」という勝田元会長の教えを大きな拠り所にしたいと思います。長い間大変お世話になりました。ありがとうございました。

謹んで勝田美保子元会長のご冥福を心からお祈り申し上げます。

一般社団法人日本翻訳連盟(JTF)
代表理事・会長 安達久博

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