日本翻訳連盟(JTF)

25周年記念JTF翻訳祭 開催報告

日本翻訳連盟 翻訳祭企画実行委員会委員長
丸山 均  (Maruyama Hitoshi)


昨年の11月26日、アルカディア市ヶ谷にて恒例のJTF翻訳祭が開催されました。各セッション会場はもとより、40社が出展した翻訳プラザや6つのプレゼンコーナーで過去最高の入場者数となりました。
 
今回は第25回記念開催ということで、今まで実現が難しかったいくつかの企画に挑戦してみました。下記にそれらを列挙します。

  1. 国際的な広い視野と見識をお持ちの著名人を選出し、粘り強く出演交渉した結果、数名の方にご了承いただけた。それにより今まで翻訳祭に興味のなかった人達を取り込むことができ、広くJTFの存在を認知させるよい機会となった。

  2. 翻訳祭にライブ感覚のセッション(登壇者と来場者が会場で一体となり、ほとんど台本のないぶっつけ本番のセッション)を導入した。結局2コマ連続180分のロングセッション「MT LIVE ~機械翻訳の担うべき役割~」が実現し、大きな混乱もなく、盛況のうちに終わることができた。

  3. 各セッションの部屋は、従来120名収容の部屋×6室だけだった。しかし、今回は240名×1室、150名×1室、120名×4室の3種類、合計6室を用意した。これにより立ち見等をある程度回避することができた。

  4. 従来、外国人の登壇者は、日本在住の場合がほとんどだったが、今回は海外から積極的に募り、旅費は個人負担で5名の方にご登壇いただいた。

  5. 翻訳とは直接関係ないが、今後の翻訳業界に影響を与える可能性のあるテーマのセッション(世界経済の動向、企業イノベーション、マイナンバー関連など)を実施した。

  6. パーティー時間を従来の2時間から2時間30分に延長し、プロのエンターテイナーによるパフォーマンスを取り入れた。

以上ですが、これらの経験を次回以降に大いに活かしたいと思います。特に来年度以降も同様の部屋を採用するのであれば、事前アンケートの結果により、本番直前に部屋の大きさを決定するという難しい施策が必要になってくるかもしれません。また、海外から登壇者を募るのであれば、JTFサイトの英語化はもちろんのこと、世界へ向けて積極的な情報発信(最低限英語)が必要となるでしょう。
 
最後に今回の翻訳祭にご登壇いただいた米倉誠一郎先生のセッションの中での言葉を引用し、このご報告を終えたいと思います。
 
「高くても良いものは、安くて良いものには絶対にかなわない」
 
先生はこれを「ノーベル賞ものの発見だ」とおっしゃっていましたが、地殻変動が静かに、そして着実に進行する翻訳業界の重要な指標となるかもしれません。

 


丸山 均  Maruyama Hitoshi

 
日本翻訳連盟 翻訳祭企画実行委員会委員長
1957年、横浜生まれ。1981年、有限会社ジェスコーポレーション入社。1988年、株式会社ジェスコーポレーション代表取締役に就任、現在に至る。1989年、日本翻訳連盟(当時は任意団体)の理事に就任。その後常務理事(2006年)を経て、2010年、社団法人日本翻訳連盟の副会長に就任、現在に至る。好きな言葉:「継続は力なり」。毎週日曜日に3,500m泳いでいるが、水泳後、サウナと水風呂に入る習慣が28年間続いている自称健康オタク。鎌倉市在住。

 

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