日本翻訳連盟(JTF)

2023年度第2回JTFセミナー報告

日 時:2023年9月14日(木)
開 催:Zoomウェビナー
テーマ:翻訳校閲講座「日本語ライティングスキルを鍛えよう!」
講演者:久松 紀子(翻訳校閲者・校閲者/英語教材執筆者・校閲者)

<登壇者のプロフィール>
埼玉県出身、明治大学卒業。
20代でメーカーの社内企画室にて編集・ライティングのスキルを鍛えた後、英語を勉強して翻訳業界に入る。18年間にわたり、数社で翻訳チェック・翻訳校閲を担当したのち独立。産業・出版両方の分野で翻訳校閲に携わる。英語教材の執筆・校閲者でもあり、単純な間違いの怖さを思い知らされる日々。
英語と日本語が脳内で常に行き交っているため、テキストが渋滞に陥るのを防ごうと、定期的に「文字情報」を遮断する時間を作っている。具体的には、美術館やギャラリーで絵画鑑賞に浸るのが休日の楽しみ。

参加者数:188人

概 要
講師は、翻訳チェックと校閲を合わせたプロセスを「翻訳校閲」と定義する。訳文のミスを修正するのに加えて、日本語表現にもコメントを入れることがある。書き換え例を提示するためには、語句や表現、コロケーションの「引き出し」を豊富に備えておき、対象読者や訳文の文体、丁寧さのレベル等に応じて、そこから取り出してくる必要がある。
自分の好みによらず、与えられた時間内で的確に提案するために、ふだんから脳内にデータベースを構築し、アップデートしている。本講座では、よく表現で問題になる語について、具体的に英文と元訳、そして講師の修正訳を提示する。翻訳チェッカーの方々には、このように直すのかと参考にしたり、あるいは、自分はこうはしないと代案を考えたりしていただく材料にもなることと思う。  なお本講座は、2022年5月および12月に毎日文化センター主催で実施した「翻訳校閲オンライン講座」の内容が含まれる。

<講演のポイント>

  • 校閲クイズ~間違っているのはどれ?
  • 訳し方はひとつじゃない!~inspireはどう訳す?
  • increasinglyは「ますます」?
  • 単純ミスに瞬時に反応するには?
  • 日本語のコロケーション感覚をチェックする方法は?

<参加者のアンケートより>

  • 日頃チェックしていて?と思うところをお話いただき大変勉強になりました。(皆さんそう思っていらっしゃるのだと思いました)
  • 練り上げていくプロセスが非常に参考になりました。
  • 事前質問を出したのですが、先生からとても参考になるご意見、情報をお聞きでき、とても有益でした。
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