日本翻訳連盟(JTF)

2023年度第4回JTFセミナー報告

日 時:2024年3月14日 (水)
開 催:Zoomウェビナー
テーマ:医療情報の読み解き方-"ダイエット薬"の診療報道の背景を探る-
講演者:西村 多寿子(にしむら たずこ)(株式会社ことのはラーニング 代表取締役)

<登壇者のプロフィール>
外資系製薬会社、総合病院、産業保健分野での実務経験を経て、医療翻訳の個人事業主として起業(プレミアム医学英語教育事務所)。医学英語のオンライン教材開発・販売を事業として独立させる必要性が生じたことから会社設立に至る。近年は、医療系大学での専門英語教育と研究、医療関連文書作成における生成AIの活用可能性の検討、「やさしい日本語」普及を含む在住外国人とのコミュニケーション向上に関わる実践活動に力を入れている。千葉大学看護学部 非常勤講師、フェロー・アカデミー講師(メディカル翻訳)、日本メディカルライター協会 評議員。

参加者数:28人

概 要

2023年12月、痩身・ダイエット等を目的とするオンライン診療を受けた人が、糖尿病の治療薬を処方され、体調不良につながるケースが多発している、と各種メディアで報道された。だがこれは最近起こった問題ではなく、日本医師会はたびたび警鐘を鳴らしてきた。

薬自体の問題ではない。日本では、2型糖尿病治療薬として複数のGLP-1受容体作動薬が承認されているし、科学雑誌Scienceの2023 Breakthrough of the Yearは、肥満治療における注目すべき研究としてGLP-1受容体作動薬を挙げた。

本報道の背景を探るには、医薬品開発のプロセス、添付文書、適応外使用について知る必要があるので少々厄介である。だが、翻訳者の皆様が、正しい医療情報を入手する基本的なワザを獲得すれば、原著論文などのオリジナル情報を見つけ自ら吟味することも可能であろう。本セミナーが、その一助となれば幸いである。

<講演のポイント>

  • ダイエット薬・やせ薬の報道
  • GLP-1受容体作動薬は糖尿病治療薬の1つ
  • 医薬品の適応外使用
  • 正しい医療情報の入手と吟味

<参加者のアンケートより>

  • 大変よかったです。今後のご登壇もたのしみにしています。
  • (参考になったポイント)糖尿病治療薬の内容と医学関連文献のご紹介、また、西村先生加入の学会情報など。
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