日本翻訳連盟(JTF)

2021年版ヨーロッパ言語業界調査の結果が発表

EUATCやGALAなどの業界団体が共同で実施している「ヨーロッパ言語業界調査」の2021年版の結果が発表された。翻訳会社やフリーランスなどから907件の回答があった。

質問項目は多岐にわたるが、翻訳会社に対しては、たとえば「提供しているサービスの増減」が聞かれている。増加したサービスとして「ポストエディット」や「リモート通訳」、減少したサービスとして「オンサイト通訳」や「言語トレーニング」が挙げられている。とりわけ通訳のオンライン化が急激に進んでいるようだ。

同じく翻訳会社に対して「分野別の増減」に関する質問があった。大きく増えたのは「医療」、減ったのは「旅行」の分野であった。やはりコロナ禍の影響がありそうだ。

さらに、ISO認証に関する質問もあった。66%が「ISO 17100」、49%が「ISO 9001」を取得していると回答している。なおISO 17100の取得率は、収益規模が10万ユーロ(約1,300万円)未満だと10%程度、10万〜25万ユーロ(約3,300万円)だと40%程度、25万ユーロ超だと50〜70%程度である点がグラフから読み取れる。

フリーランスに対しては、たとえば「ワークライフバランス」についての質問がされている。昨年と比べて悪化したという回答が増えており、作業量増加やレート低下などが原因として挙げられている。

またヨーロッパ翻訳修士号(EMT)に関する質問も翻訳会社やソースクライアントにされた。「知っている」が約半分、「知っていて、採用時に考慮する」も1割未満と、翻訳修士号が就職時に必ずしも有利に働かない状況が伺える。

調査結果PDFファイル:https://www.gala-global.org/sites/default/files/gala/ELIS%202021%20Results_0.pdf

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