5-3 秀丸エディタと秀丸マクロで、作業効率アップ ─秀丸エディタと歩む翻訳人生─
糸目 慈樹
特許翻訳者
報告者●永島和暢(ライオンブリッジ ジャパン株式会社)
大阪と東京で「ほんまかい (翻訳者のためのマクロ勉強会)」を発足させた講演者が、テキスト エディタ、特に秀丸の使い方を日英翻訳のデモを交えて解説したセッションである。
秀丸を使う以前は、編集ツールとして Word、用語管理ツールとして Excelを使用していた。秀丸エディタを使うようになってからは、Word から一旦テキストを抽出し、秀丸で翻訳編集し、Word に取り込んで最終作業を行うプロセスを採用している。
秀丸に代表されるテキスト エディタには次のような長所がある。
1. 動作が軽快 (起動が速く、生成されるファイルサイズが小さい)
2. 安価 (秀丸は無料ではないが、無料のエディタもある)
3. 強調表示機能 (数字などを印刷には反映せず強調表示することができる)
4. 正規表現 (Word のワイルドカードのような表現) のサポート
5. Grep 検索 (複数のファイルを串刺し検索する機能)
6. キーマクロ (複数のキー操作を記憶させ、再生する機能)
ただし、弱点もある
1. オートコレクト機能がない
2. 半角の特殊文字、ギリシャ文字が化ける
3. 文字列に下線を引いたりやボールドにできない
4. Word のようなコメント挿入ができない
秀丸は強力なマクロ機能を持っており、上記の欠点を補完したり、複雑な処理を自動化することができる。膨大な量のマクロが無料で公開されており、自分ではマクロを組むことができなくても利用できる。また、勉強したければ、豊富な書籍がある。
AutoHotKey
秀丸でオートコレクト機能を実現するツールである。.ahk という拡張子のファイルにミスをしやすい単語について、修正前と修正後のスペルを登録しておく (teh と the など)。修正前のスペル (teh) を入力すると修正後 (the) に “変換” される。
特殊文字対応
あらかじめ定義しておいた文字列にWord 上で検索置換してから、秀丸上で作業を行い、Word に戻った時点で、特殊文字に逆置換することで対応できる (μ -> <@>SmallMu</@>など)。cm2など上付き文字や CO2 などの下付き文字も同様の方法で対応できる。
Termfetcher
とりあえず用語集にある英語を日本語と検索置換してから英訳を開始するプロセスに着目して、講演者が作成したツールである。日英では語順が異なるため、通常は直後でなく、文章のより後方にある英語表現がほしい場合がある。このツールでは、あらかじめ検索置換しておいた英語表現にキーストロークだけでジャンプし選択して、文章中のカーソル位置に移動できる。
「本発明は、インク滴を吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに関する。」
→「present inventionは、ink dropletsをejectしてprintingを行うinkjet printerに関する。」では、「The present invention relates to an inkjet printer that…」となる。
iTOME (integrated Translator-Oriented Macro Environment)
Word ファイルからテキスト ファイルの生成、用語の置換、対訳ファイルの作成、訳文ファイルの生成までの一連の処理ができる統合環境を iTOME (アイトーム) として作成した。
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