日本翻訳連盟(JTF)

Localization World 2012 in Paris参加報告

Localization World 2012 in Paris参加報告

藤田 美紀
株式会社翻訳センター ローカライゼーション推進部


 



名称●Localization World Paris 2012
期間●2012年6月4日(月)~ 6日(水)
場所●Le Palais des Congrès de Paris(パリ)
主催●The Localization Institute, MultiLingual Computing, Inc.
詳細●http://localizationworld.com/lwparis2012/about.php

 



「Localization World」は年に2回、6月と10月に、北米とヨーロッパと北米で交互に行われている、ローカライズ業界のイベントです。翻訳サービスと翻訳技術とを結び付けることと、ネットワークを広げることとを目的として、カンファレンスと展示会が並行して開催されます。時には中国で開催されたこともあります。今回はフランス・パリでの開催で本イベント期間は二日間でした。この本イベント前日には研究テーマごとにディスカッション(ラウンドテーブル)を行うプレ・カンファレンス日が設けられています。
 
弊社のLocalization World出展は前回の米国サンタクララに続き二度目となります。今回のLocalization World 2012 in Parisでは、小職の他に同僚2名(プロジェクトマネージャー(PM)と営業担当)とともに、ブース出展のメンバーとして参加しました。出展社の視点とLocalization Worldに初めて参加する立場からの視点で参加報告をさせていただきます。
 
また、小職の職種は校正(QA)ですので、同職種の観点から他社での同業務情報を得るべく他社交流を心がけ、出来るだけ多くの人と会い、話をしてくることを目的に行動をしました。

Localization World 2012 in Paris開催概要

期間:               2012年6月4~6日(3日間)
                                 6月4日:プレ・カンファレンス
                                 6月5~6日:メインイベント(カンファレンス、企業ブース展示)
会場:               Palais des Congrés de Paris(総合展示会議場)
出展社数:        55社
内容:               カンファレンス、展示会、その他(レセプション、ディナーパーティー、抽選会
テーマ:            「Reaching the Mobile World」
出展企業業態: 翻訳会社、翻訳関連ツール開発会社、翻訳サービス関連団体など
来場者:           翻訳関連企業、本訳者、コンサルティング企業、メーカーなど、様々

出展準備

弊社は出展企業ということで、事前に他社とのミーティングアポイントメントを取ったり、出展ブースで配るチラシやノベルティグッズの手配をしたりイベントそのものの準備時間に追われたうえに、ブースの装飾道具、ブロシュアは、出張メンバーのスーツケースに分担して詰め込み手持ちで参加搬入しました。今から思えば、それらはかなりの重量になったので海外荷物発送しておけば良かったと後悔しています。

Localization World 参加!出展!

出展準備も整い、いよいよフランス入り。会場はパリ市内でも有名なコンベンション施設「Palais des Congrés」。Porte Maillot駅至近で、交通の便がよい立地。
この展示会施設内部は数階に分かれた作りになっており、おまけに大変広く、危うく迷子になるところでした。

 

 会場入り口(背後のビルはホテル)  会場エントランス

ブース装飾

プレ・カンファレンス日の朝、ブース設営のため会場に行くと、展示会場自体がこれから設営というところで、床にしるしを付けている最中。出展社の搬入が可能となるのがその日の午後からということらしいので、当日弊社ブース場所で予定していた他社とのミーティングアポイント場所を変更することに。情報と現場が多少ずれているのは大目に考えなければ。
 

 各展示企業ブース
設営シーンの一コマ 
小職もブース準備


同僚もブース準備


さて、出来上がった展示企業用の各ブースの上部には社名パネルが付いている。各社ブースの三方の壁は木目調の壁面に囲まれており、弊社ブースの床面積は2×3mでややこじんまりしたタイプ。主催者より、丸テーブルとアクリル製透明椅子が3つ、ゴミ箱がブース標準装備品として支給いただいた。また、チラシ用のスタンド、カウンター台、受付用のスツールを別途お願いしました。そこで、カウンター台にクロスをかけ、受付カウンターにし、ブロシュア、三つ折りリーフレット、弊社成果物を展示し、ノベルティのペンも立て、来訪者名刺入れボックスを置きました。正面壁面には自社ポスターを飾り、展示企業らしくなってきました。

他社ブースも弊社と同じような装飾でしたが、ポスターの大きさ、数、配布資料の数や種類などが弊社よりも明らかに多く、やはり、日本からの手荷物搬入ではダメだと実感した瞬間でした。次回は郵送でより大量に用意しよう。

また、中には、この展示会用にブロシュアや装飾を特別に作っている先もありました。

プレ・カンファレンス

プレ・カンファレンスは有料で、参加するには事前申し込みが必要。今回我々はブース展示企業のため、プレ・カンファレンス参加を見送りました。

レセプション

プレ・カンファレンスの夜は、参加自由のレセプションがあり、同僚とともに参加しました。レセプション会場までは主催者の送迎バスにて移動。

 移動中の送迎バスより   

レセプション会場店舗内

 レセプション会場


会場は、明かりを抑えた、飲み物と軽食だけのカジュアルな店舗。明らかに店舗面積以上に人が多く身動きが取れないうえに、店内音楽の音量がとにかく大きく、相手の耳元に口を寄せて大声でしゃべらないと、会話にならないほど。好む好まざるにかかわらず、お互いが非常に近くに寄ることになったのは交流を深めるための演出だったのか?
 
ここでは、出展者以外の参加者や、プレ・カンファレンスのラウンドテーブルだけに参加する人に出会える機会がありました。目が合う→挨拶→名刺交換という流れで多くの方と名刺交換やお話をすることができました。

また、あるセッションのスピーカーの方に出会うことができたり、ミーティングアポイントしていない会社の方と翌日のミーティングの約束をすることができたりした有意義なレセプションでした。
 
パリの夜は、22時位にならないと暗くならないため、19時ごろは、まだ昼の3時?と錯覚するような明るさゆえに、レセプションが終わるころもまだ明るく、なかなか感覚が慣れない状況でした。

Localization World メインイベント開始!

出展企業

今回の出展企業は全55社。前回は48社、その前は44社だったので、年々増えています。
しかし、前回、前々回の出展企業と今回の出展企業を比較してみると、8割の企業が出展経験企業であることがわかりました。前回のLocalization Worldに参加した弊社スタッフは「同窓会みたいな雰囲気だよ」と感想を述べていたのも、うなずける雰囲気。

出展している翻訳会社の国別構成としては、ドイツ、フランスの他、東欧からの出展が多かったです。他にアフリカ、ロシア、インドも2社ありました。日本からは弊社ともう1社で、アジアからの出展は少なかったので、アジア勢としてはやや寂しい感がありました。

ディナーパーティー


 

Day oneのパーティーは、豪華な大型ボートでセーヌ川を上り下りしながらの立食パーティー。スポンサーはMorabia社。この時、同じテーブルについたドイツからのある参加者は、隣席の参加者に、顧客対応の悩みを打ち明けていた。国はちがっても、皆、翻訳会社に勤務する者同士が持つ悩みは同じようです。
 
川面には、他にも多くの船が行き交っていました。まるで大阪の天神祭の船渡御のようでした(音はないけれど)。23時になるとエッフェル塔がひときわ明るく点灯し、非常に美しい。しかも船は、ちょうどその時分に近くを通るようにしてくれていたようでした。心憎い演出。

ブース運営

ありがたいことに、期間中は事前のミーティングアポイント以外にも絶え間ない来客がありました。その対応に追われ、本来ならばカンファレンスイベントでもあるので、交代でカンファレンスやセミナーに行く予定でしたが、結果的に行くことがままならない状況でした。その分様々な方と交流をすることが出来たので良しとしたいところです。
 
会場で多くの会社とミーティングを重ねる中、特に翻訳会社の場合、総じてローカライズには必ず複数のツールを使いこなしていることが確認できました。そのQAプロセスについても、独自のやり方を確立している先が多くありました。
 
ブースのスタッフがお揃いの真っ赤なシャツを着て気合を示したり(応対ミーティングの中身には直接関係ない)、丁寧に制作した説明資料を用意してくれてあったり、袋に様々なお土産を入れて渡してくれたり、と、その会社ごとの一生懸命な気持ちが表れていて、とても印象に残った。
 
各社の「感じ」を肌で知ることができるのも、このようなイベントに参加することならではのメリットでした。また、出展企業という立場のおかげで、誰にでも話を聞けて、また聞いてもらえたと感じます。

ノベルティ、抽選

各社の用意しているノベルティグッズは様々。一般的なペンや鉛筆の他、お菓子、Tシャツ、手帳、時計、帽子、ロゴ入りのコップ、キーホルダー、お酒。「気は心」で一生懸命な気持ちと、Welcome!という気持ちが来場者に伝わります。



 

この他、プロモーションの一環として、閉会式前には各社が用意した景品の当たる抽選会が主催者によって開催されることになっていました。各ブースにはそのための名刺入れが用意されていました。

抽選会

いよいよ会期が終了、閉会式へ。出展各社が思い思いの景品を用意して来場者に感謝の意を表しました。会期中でもっともリラックスした雰囲気の中、参加者全員で、無事会期が終了したねという一体感を共有するイベントでした。




 

ここでのエピソードを一つ。
日本でも活動しているインドの出展企業が用意した景品が日本人形。それが日本人の小職に当選!日本人に日本人形が当たったということで、会場が大いに沸いた一瞬でした。
閉会式も無事に終了し、その後、エレベータホールなどで参加者の方から「日本人形が日本人のあなたに当たりましたね」と声をかけてくる人が何人かありました。「きっと、日本に一緒に帰りたかったのでしょう」と返すと、どの人も「私もきっとそうだと思いました」と笑顔を返してくれた。
このおかげで、この意外な一面から多くの交流が得られました。

運営スタッフ、スポンサー

会場には、スポンサー提供の軽食とドリンクのコーナーがありました。このサービスには1、2度お世話になり助けられました。またスポンサーによるアイスクリームの提供や、展示会初日には閉場後のワインの試飲会もありました。




 

主催者側運営スタッフの方々が、常に出展企業に気を配ってくれていたおかげで、とても気持ちよく展示運営を過ごすことができました。
レセプションやディナーにおいても、会場への送迎バスの往復経路や、セーヌ川を上り下りする船上パーティーの演出からは、美しいパリの町を見る時間もない出展企業を喜ばせようとした思いが伝わってきます。
 
終了後、運営側の代表の人や直接世話をしてくれた人に心をこめてお礼を述べてから、会場を後にしました。最後に、このLocalization Worldというイベントは、我々がいる翻訳業界において、各社が競争と共栄をしつづけるべく、続いていることを感じた次第です。

 

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