私の一冊『サンドマン』

第1回: JTFジャーナル 編集長 松元洋一

『サンドマン』
Neil Gaiman(ニール・ゲイマン)著、海法紀光訳、インターブックス、1998 年

新コーナーの「私の一冊」は、 翻訳書や翻訳に関わる本の中から、翻訳者や翻訳会社のスタッフが特別な一冊を紹介する新シリーズです。次の書き手を紹介してリレー形式でつないでいくことで、翻訳関係の皆さまに興味深い書棚をつくりあげていこうと企画しました。 第1回は編集長の松元洋一が紹介します。

私の心に残る一冊は何と言ってもニール・ゲイマンの『サンドマン』である。

長年、翻訳会社を営みながら出版業も行っているが、1997年、ボストンでの仕事の帰りに NY に立ち寄り、ストリートのコミックショップでたまたまこの本を見つけた。

その当時、世界では『ハリーポッター』が記録的大ヒットを飛ばしており、ファンタジーブームであった。この作品はいわゆるアメリカンコミックであるが、従来のスーパーヒーローもののアメリカンコミックとは異色の作品だ。人間の精神世界を抉るようなダークファンタジーで、グラフィックノベルというジャンルの文学的な作品に仕上がっている。

一目見て、「これだ!」と思った私はすぐに日本の版権エージェントに連絡をし、日本での出版まで辿り着いたが、予想に反して売上は『ハリーポッター』とは程遠い惨憺たる結果であった。

しかし昨年24年ぶりに再度この作品と向き合うことになった。

「Amazon」のアジア拠点であるシンガポールから「Audible」(Amazon のオーディオブック)向けに翻訳依頼が来たのである。そして本年春から日本の Audible 市場で大きくキャンペーンが始まる。さらに動画配信サービスの「Netflix」でも実写版のドラマが始まるらしい。

そういうわけで、再度インターブックスで復刻版を出すことに決まり、現在契約を進めている。今度は本当のブームが来るかどうか今から楽しみである。(インターブックス代表)

★次回は JTF ジャーナル前編集長の西野竜太郎さんに「私の一冊」を紹介していただきます。

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