日本翻訳連盟(JTF)

私の一冊『てにをは辞典』

第8回:英日翻訳者 笠川 梢さん

『てにをは辞典』小内 一(編)、三省堂、2010年

翻訳関連や翻訳書で何か一冊というお題をいただき、小内一編『てにをは辞典』(三省堂)を選びました。外国語関連の本ではありませんが、特に和訳をするときに参照するお気に入りの日本語コロケーション辞典です。

五十音順に言葉が並んでいるところは国語辞典と同じなのですが、記載されているのは言葉の意味ではなく、その言葉の前後によくつながる言葉です。例えば「翻訳」を調べてみると、(翻訳が)「進む。出る。一行も進まない」や「暗号を。英語を。会話を」(翻訳する)などが前後につながることがわかります。

原文の意味はわかっても、ぴったりした訳語を思いつけないときにこの辞典を引くと、日本語として自然な表現を見つけられることがあります。すぐに見つからなくても、ここからインスピレーションを得て、訳語をひらめくことがあります。

この辞典を使って私と同じようにパズルがはまったときのような爽快感を味わっていただければうれしいです。

◎執筆者プロフィール
笠川 梢(かさかわ こずえ)
メディカル、出版翻訳者。大阪生まれ、奈良育ち。立命館大学卒業後、留学と社内翻訳を経て、2005年からフリーランスで医療関連の主に英日翻訳に携わる。最新訳書『ネイティブが教える 日本人研究者のための国際学会プレゼン戦略』(講談社、共訳)。

★次回は、ノンフィクション翻訳者の児島修さんに「私の一冊」を紹介していただきます。

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