日本翻訳連盟(JTF)

どうする⁉ 翻訳通訳業界
~業界4団体トップが語るこれからの翻訳通訳~
【後編】ディスカッション

「翻訳の日」連動企画 パネルディスカッション

<前ページ

[4]翻訳通訳業界の未来について

森口(司会):最後に、これからの翻訳通訳業界の連携について、何か一言いただければと思います。こういう方向性ができると面白いですねとかカジュアルな意見で構いませんので、いかがですか。

●業界リサーチでの協力や海外業界団体との連携も

関根(JACI):本日、はじめにJACIの活動を紹介した中で、今後の活動の一つとして「他の業界団体やアカデミアとの連携」を挙げましたが、このように4団体のリーダーが集まるのは業界全体として非常に大切だと思っています。定点活動じゃないけど、毎年1回はやってもいいんじゃないかと思います。それが積み重なってきたら業界の流れなどがだんだんわかっていくと思いますので、日本翻訳連盟の安達会長、よろしくお願いします。

安達(JTF):わかりました。こうやって4団体が集まるイベントは今回限りではなくて、いろいろやっていきたいと思います。

特に私のほうから、例えば業界調査を隔年で行っていて、次回は次年度にやることになるんですけども、今日ご登壇の業界団体のみなさまにも、ぜひ協力していただきたいと思います。場合によってはその業界調査委員会に参加していただくような形で、業界全体でこういう部分に関心があるとか、翻訳者・通訳者のみなさんがどう考えておられるかとか気になる点など、次回の業界調査に反映して世の中にお知らせしていきたいと感じております。ぜひご検討ご協力いただければと思います。

森口(司会):アジア太平洋機械翻訳協会の隅田さん、いかがでしょうか。

隅田(AAMT):この集まり、どうなるのかなと実は思っていて、不安でいっぱいだったんですけど、2時間話してみて、とても面白くて新鮮でした。やはり意見交換する場というのはすごく重要だと思いました。対立しようと思うといくらでも対立になる可能性もあるんですけれども、こうやっていろいろなことをフランクに話すのはすごくいいことだと思います。

あと、ここにいないのは先ほどちょっと話題に出たクライアントなので、クライアントを取り込む、クライアントと対応することを、この4団体でできたらいいんじゃないかなとちょっと思いました。

関根(JACI):来年もしこれをやった場合、この場でまだChatGPTの話をしているのかなとちょっと気になります。一部の識者は、これはバブルだとか言っているじゃないですか。OpenAIのアルトマンさんが仮想通貨を発行し始めたけれど、雲行きが怪しくなってきたみたいな話もありますね。

隅田(AAMT):そうですね。シュンと消える可能性もありますね。

森口(司会):最後に日本翻訳者協会の狩野さん、いかがですか。

狩野(JAT):連携に関して、みなさんがおっしゃったことにJATも同じ意見です。加えて、翻訳者も通訳者もそうだと思いますが、エンドクライアントが日本国内とは限らないので、国内での連携は必須として、そのうえで海外の翻訳団体、通訳団体との連携も今後できたら理想かなと思っております。

●「JTF翻訳祭2023」で4団体がセッションを提供

森口(司会):それでは近々ここを起点に連携が起こりますということで、翻訳祭についてちょっとご紹介をさせていただきたいと思います。

先ほどもお話しましたが、日本会議通訳者協会の活動の背中を見て、日本翻訳連盟がオンラインのイベントを始め、オンラインの翻訳祭を始めて3年が経ち、今回はハイブリッド開催になります。最初の1年目よりも2年目、2年目よりも3年目、3年目よりも今年ということで、年々洗練されてきていますので、ぜひみなさまのご参加をご検討いただければと思っています。


今申し上げたように今年のJTF翻訳祭は、リアル会場とオンラインのハイブリッド開催になります。

2023年10月27日に東京駅の目の前にあるJPタワーホールのカンファレンスホールで、一日のリアル開催を行い、交流パーティーもさせていただきます。その後11月8日から11月15日の間、オンラインのイベントを開催します。会場開催とオンライン開催は、日程が分かれておりますが、このような二つの開催形態で実施します。

この翻訳祭のセッションの中で、ここにいらしていただいている各団体様とJTFが連携して企画しているセッションがありますので、ご紹介したいと思います。

まず一つ目、日本翻訳者協会の狩野さんからご紹介をお願いします。

狩野(JAT):今回のセッションでは、個人のマーケティングを専門とする日英翻訳者としての私の立場から、マーケティング翻訳についてお話します。

今までは産業翻訳の中のジェネラルな翻訳分野として扱われてきたけれども、SNSマーケティングが普及する中、マーケティング翻訳は分けて考えるべきではないかという観点から、マーケティング翻訳とは何か、マーケティング翻訳とマーケティング翻訳者と翻訳会社がどうやって付加価値の高い翻訳をエンドクライアントに提供すればいいかという話を中心にしていこうかなと思っています。

森口(司会):ありがとうございます。次に日本会議通訳者協会の関根さんにご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

関根(JACI):JACIの理事の巽美穂さんが登壇します。彼女は関西在住で、東京で仕事をしている方なんですけど、通訳技術はもちろん、つながりの大切さ、価値を非常によくわかっている方なので、特にコロナが明けて、これからいろいろな対面現場が増えていく中で通訳同士が連携する、そしてクライアントともつながりをつくることの重要性をこのセッションで語ってくれると思います。

森口(司会):ありがとうございます。次はアジア太平洋機械翻訳協会の隅田さんにご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

隅田(AAMT):AAMTの登壇者の永田昌明さんは、30年以上、自動翻訳の研究をしているベテランで、非常に上手に説明してくれると思います。テーマがChatGPTなので、先ほど関根さんからご指摘があったように、来年はもうこの話はないかもしれないので、ぜひ今回聞いてください。

森口(司会):ありがとうございます。このように、将来の連携ももちろんそうですし、9月30日の翻訳の日を祝うためのイベントとしての翻訳祭でも、もうすでに連携をしています。

これから通訳翻訳業界の発展、健全化のためにいろいろな情報発信を求めている方たちがいらっしゃると思いますので、ぜひこの翻訳祭を一つの機会として、みなさまにご参加をご検討いただければと思っています。

以上をもちまして、このパネルディスカッションは終了となります。ご参加いただきました4団体4名の代表のみなさま、ご協力いただきましてありがとうございました。

<前ページ

   4

←【前編】4団体の概要と近年の活動

第32回JTF翻訳祭2023
会場開催:2023年10月27日(金)
オンライン開催:2023年11月8日(水)~15日(水)
アーカイブ期間:2023年11月16日(木)~12⽉15⽇(⾦)
テーマ:どうする⁉ 翻訳通訳業界

★詳細は、以下の翻訳祭特設サイトをご覧ください。
https://www.32jtffestival2023.com/

共有