日本翻訳連盟(JTF)

アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)監事に就任して ―翻訳連盟とAAMTのかけ橋に―

―翻訳連盟とAAMTのかけ橋に―
アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)監事に就任して

 

川村みどり
一般社団法人日本翻訳連盟理事
株式会社川村インターナショナル 代表取締役

 
 



名称●アジア太平洋機械翻訳協会 第22回通常総会・報告会・講演会・AAMT長尾賞授与式
期間●2012年6月19日(火)
場所●アジュール竹芝(東京都港区海岸1-11-2)
主催●アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)
詳細●http://www.aamt.info/japanese/soukai2012.htm

 



2012年6月19日(火)AAMT第22回通常総会で、翻訳連盟の理事を代表しAAMTの監事に就任したことをご報告いたします。
 
AAMT前会長 井佐原 均氏には、翻訳連盟の監事をお引き受けいただいているため、私のAAMT監事就任により、翻訳連盟とAAMTのきずながより強固になるよう努めてまいります。
 
私にとって、AAMTの会議に出席したのは第22回通常総会が初めてでしたので、アカデミックな雰囲気にやや圧倒されました。これは、AAMTの会員は機械翻訳に関わる大学の先生や企業研究者が多いからなのでしょう。
 
総会では、井佐原会長の任期終了にともない、新会長にAAMT前監事、日本電信電話株式会社の中岩 浩巳氏が選任されました。
 
AAMT総会後のイベントで印象的だったのは、長尾賞受賞者の発表でした。長尾賞とは初代AAMT会長、長尾 真先生が国際賞を受賞されたのをきっかけに、先生が賞金の一部を寄付されたのを受けて2006年に設立されたものです。この賞は機械翻訳システムの実用化の促進と実用化のための研究開発に貢献した個人またはグループに与えられます。
 
今回の受賞者は株式会社富士通研究所 機械翻訳システム研究開発グループの三名の方で、コーパスベースの言語資源構築技術の研究開発、および機械翻訳システムの実用化技術に関する研究開発における長年にわたる実績が評価されました。
 
今回受賞された方々は、特にJICSTによる「180万語規模の多言語対応科学技術用語電子辞書の整備」におけるシソーラス作成による寄与等が高く評価されたのですが、この言葉を聞いただけで、膨大な仕事量に眩暈が起きそうです。皆さまの地道なご努力に頭が下がる思いです。
 
ところで、翻訳連盟の総会前後には、翻訳・通訳に関連する分野の専門家の講演が行われますが、同様にAAMTでも総会後に講演が行われました。今年は前国立国会図書館長 長尾 真先生の「国会図書館における電子図書館」と飯田 仁先生の「展開が期待されるメディア社会におけるMT」で、どちらも聞きごたえのある講演でした。長尾先生のお話は特に国立国会図書館という比較的身近な話題であったため、記憶に残りました。
 
国立国会図書館設立の目的が国会議員の調査研究のためであるとは、私は寡聞にして知りませんでした。年間4万件近くもの国会議員からの調査依頼を受けているとのことです。長尾先生の下でデジタル化が強力に推進されたため、オンラインサービスのさらなる充実が期待できそうです。
 
午後1時に通常総会が始まり、講演会が終わったのは18:00前。5時間の時間を感じさせない充実したプログラムでした。その後、懇親会が開催されました。
 
AAMTの理事で井佐原前会長以外に存じあげている方がいないため、懇親会に出席して名刺交換をしたいと思っていました。ところが、理事の方の出席が比較的少なく、ゆっくりお話ができたのは数人の方でした。翻訳会社の会員があまり多くないAAMTでは、機械翻訳の使用者側からの情報を得る機会が少ないようです。翻訳連盟にとっても機械翻訳に関する情報は非常に重要で、この点で、連盟とAAMTとの情報交換が進むことを期待しています。
 
監事の任期は2年ですが、この間に少しでもAAMTと翻訳連盟のかけ橋になれるよう努力してまいりますので、宜しくお願い申し上げます。
 

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