私の一冊『血と汗とピクセル:大ヒットゲーム開発者たちの激戦記』

第2回: JTFジャーナル前編集長 西野竜太郎さん

『血と汗とピクセル:大ヒットゲーム開発者たちの激戦記』
ジェイソン・シュライアー(Jason Schreier)著、西野竜太郎訳、グローバリゼーションデザイン研究所、2019年

ビデオゲーム開発者たちの苦闘を描いた全米ベストセラー・ノンフィクション。第3章に登場するゲーム開発者は、大学卒業後にプログラマーを目指すがなかなか採用に至らない。そこで実績を作ろうとゲームの開発に着手する。たった一人で5年の歳月をかけ、何とか作り上げる。そしてゲームはインディー(独立系)の個人でも販売可能なプラットフォームでリリースされた。

この話にあるようなゲームに限らず、昨今は書籍を個人でも販売できるプラットフォームが整いつつある。電子書籍なら例えば「Kindle」や「楽天Kobo」だ。紙書籍もプリント・オン・デマンドの形で比較的容易に出版可能である。実は掲題の本書、私が一人で経営する零細企業で翻訳権を取得して出版した。紙版は既存の取次を経由しているものの、電子版は上記のようなプラットフォームを利用して販売している。また訳者名を見ると分かるが、私自身だ。つまり翻訳者である私が翻訳権を取得し、訳し、出版した。確かに、翻訳権は法人でないと取得し難い。しかしそこがクリアできれば、個人翻訳者でも出版自体のハードルは下げられる状況なのだ。

さて先ほど紹介したゲームだが、大ヒットを収めた。数十億円も売り上げて開発者は億万長者になった。一方、残念ながら本書の売上はそれに遠く及ばない。せいぜい千分の一だろうか。しかしインディーの気概という点なら、まあ、せめて十分の一はあるかな?(翻訳者・著作者・ソフトウェア開発者)

★次回はJTF理事の石川弘美さんに「私の一冊」を紹介していただきます。

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