日本翻訳連盟(JTF)

「私の翻訳者デビュー」井口耕二さん編

第19回(最終回):自転車トレーニングを始めたきっかけとその効用

スティーブ・ジョブズ関連書など数多くの出版翻訳や実務翻訳をてがけている井口耕二さんの「私の翻訳者デビュー」を、松本佳月さんが主宰する YouTube「Kazuki Channel」からインタビュー記事にまとめて、長期連載で紹介してきました。最終回となる第19回は、現在の仕事時間、自転車トレーニングを始めたきっかけやそのメリット、運動を続ける秘訣、これから翻訳者を目指す方へのメッセージなどを伺いました。
(インタビュアー:松本佳月さん・齊藤貴昭さん)

1日の仕事時間

松本:いま(2021年現在)、Buckeyeさんは1日何時間ぐらい仕事されているんですか。私は60歳に近づいてきて、いままでのように仕事ができなくなってきているんです。自分の理想としては、1日4時間ぐらい仕事して、あとは別のことをできたらと思っているんですけど。

Buckeyeさんは自転車に乗っていらっしゃるので、仕事されない日もあるでしょうし、だいたいどのぐらい仕事されているのかなと思いまして。

井口:長くやる日とやらない日があって、すごく揺れるんですよ。長いと7~8時間、翻訳の仕事をしている日はあります。

松本:へえ~。

井口:ただ、やっぱり7、8時間は続かないですね。1週間も続けてやるというのは無理なので。

松本:20代、30代のころは、7~8時間くらいそんなに苦じゃなかったですけどね。

井口:そう、けっこうできましたけど、いまはとても無理です。でも、やる日はそのくらいまとめてやっちゃうときもあるし、1時間、2時間しかやれない日もあるし。

松本:体調とかもありますからね。

井口:そうですね。あとはなんだかんだと用事があって。私は基本的に平日もトレーニングしていて、1時間から2時間くらい自転車に乗ります。 そのぶんは仕事時間を削っている格好になりますね。

松本:理想的ですよね。

井口:ただ自転車に乗るようになったおかげで、たとえば、仕事を7~8時間やっても体はもつようになりました。頭は疲れますけど。

松本:体力がついてきたということですか。

井口:そうですね。それと、体幹が強くなって姿勢が崩れないので、腰が痛くなったりしません。

運動不足を実感していろいろ挑戦

松本:そもそもBuckeyeさんは、何がきっかけで自転車に乗りはじめたんですか。

井口:靴ひもを結べなくなったから。

松本:え?

井口:腹がつかえて。

松本:なるほど。ダイエットというか、ちょっと痩せようというところから始まった感じですか。

井口:まあそうですね。そもそもわれわれの仕事って、座りっぱなしじゃないですか。

松本:はい、動かないですよね。

井口:家から出もしなかったりするわけですよ。忙しくなったら、1週間で一番遠くまで行ったのが、家と道の境目までゴミを置きに行って玄関から一応は出ました、という程度だったりですから。

ロードレースを走る井口さん
(写真はすべて井口さん提供)

松本:下手すると1日100歩とかね。

井口:そうそう。1万歩、いや、1000歩も歩かないことさえいくらでもあるじゃないですか。そんなですから、健康面とかいろいろ考えて、ご飯の量を少しずつ減らしてみたのに、体重が年に1kgずつぐらいずっと増えていたんですよ。

松本:昔はフィギュアスケートをやっていて、すごく運動されていたんですよね。

井口:そうですね。フィギュアの選手時代は体重は70kg弱でした。69kgか68kgぐらい。体脂肪率は5%切っていました。いまは、例年、年間目標の2大レースのときに7%ぐらいです。今年はコロナであまりレースがないのでモチベーションが上がらず、体脂肪率も10%以下には落ちないんですけど。

齊藤:7%ですか。

井口:でも、7%のときに脇腹をつまんでみると厚みを感じるんです。スケートの選手だったときは、つまんでも厚みを感じなくて、本当に指が触れそうなぐらいだったのは覚えています。だから当時は完全に5%を切っていましたね。

松本:じゃあ、靴ひもが結べなくなって、これは何かやろうと思ったわけですか。

井口:そうです。実はそのずっと前から、何か運動しなきゃいけないって、家では言っていたんです。実際、いろんなことをトライしてみました。産業系の仕事でもいろいろやってみて自分に合うものと合わないものとか、これは違うなと思った仕事をやめるというふうにしていましたけど、それと同じことを運動についてもやったわけです。散歩してみるとかね。

松本:いわゆるウォーキングですね。

井口:でもウォーキングでどうにかなるほどやるとしたら、いったい何時間歩けばいいのって話じゃないですか。夏は暑いし。

松本:そんなに遠くまで行けないですよね。

井口:昼間にウォーキングしたら仕事に影響あるし、夜、暗い中じゃおもしろくも何ともないし。水泳もやりました。私、中学、高校では水泳部でした。冬のフィギュアがメインで、夏だけできるスポーツとして水泳をやっていたのですが、ともかく、泳ぐのはあんまり苦にならないし、いい運動なのはわかっている。けど、やっぱりこれも続かない。プールに行かなきゃいけないっていうのが、ね。ジョギングもちょっとやってみましたけど、走るのは昔からあんまり好きじゃないんですよ。スケートの強化に行う「陸トレ」でも走るのが一番いやだったくらいで、やっぱりダメなんです。それから、ノルディックウォーキング。あれは上体も使って歩くから全身運動でいいと言われて、3カ月ぐらいやったかな。でもやっぱり続かなくて。夏は暑いし、家の近所を歩いていてもちっともおもしろくない。

山歩きもやりました。山好きだった父の影響で山を歩くのはけっこう好きなんです。うちは夫婦とも、「海と山、どっちに行く?」ときかれたら、即答で「山」と答えるタイプで、実は子どもたちふたりの名前にも山に関係のある漢字を使っているほどです。山歩きは、1~2年続きました。東京だと高尾山の先まで行って、裏側からだーっと登って下りてくるみたいなことをよくやっていました。でも、毎週はなかなか行けないんですよ、月に1回か2回。

松本:気軽に行く感じじゃないですよね。

井口:そう、用意をして、早起きして電車に乗って行って、1日歩いて帰ってきたらもう夕方で、どうしても一日がかりになってしまう。季節が変わると風景も変わって、花の時期はきれいだし、コンロを持参して山の上でコーヒーを淹れたり、それなりに楽しかったけど、3~4週間に1回、1日歩いてきて、その後ずっとじっとしていたら、結局、痩せられません。

運命に導かれて始めた自転車

井口:そんなこんなで、2012年、ジョブズの公認伝記の仕事が終わった翌年から始めたのが自転車でした。

実はその何年か前に、自転車選手の伝記を一冊訳しています。これは、知り合いの編集者の伝手で紹介された仕事でした。自転車って自分はやらないから、ロードバイクに乗っている翻訳者仲間に紹介しようと思ったのに、納期があまりにきつくて。ランス・アームストロングというツール・ド・フランスで連勝した人の伝記なので、ツール・ド・フランスに合わせて出したいから後ろにずらせないという話でした。もうちょっと余裕あったら紹介したんですが、しかたなく自分でやることにしました。

案の定、紹介しようと思っていた翻訳者仲間から「乗ってもいないくせに」と言われました。「いやあ、そうだよね。そう思うよね」と私も思いましたよ。で、その一人が「自転車乗りませんか。楽しいですよ」と言ってくれて、「いろいろいまやってみてるんだけど、どれもなんかおもしろくなくて結局長続きしないのよ」「いや、自転車はおもしろいですよ」みたいな話はしました。でも、よくわからないし、なんとなく生返事でしたね。それが『驚異のプレゼン』が出たころだったんですけど、「じゃあ井口さん、本がキリよく10万部を突破したら、自転車買いましょう」とたたみかけられました。

松本:買う? いきなり?

井口:要するに自分へのご褒美ってことで。印税だから部数が増えれば増えるほど私の実入りは増えるので、「10万部突破したらロードバイク1台ぐらい買えるでしょ。自分へのご褒美として、10万部突破したら、買って乗るということでどうですか」と言われたわけです。

そのときは出た直後だったので、「いいかもね~」と気軽に答えながら、10万部なんていかないだろうと思っていました。ところが本当に10万部を突破して、その彼も呼んで小さなお祝い会を催したりする事態に。それでも、またいろいろ忙しくなったこともあり、そのままになってしまいました。

その後、ジョブズの伝記のあとに、リハビリも兼ねて何か新しいことを始めてみようかなと思ったときに、そういえば、そんな話あったなと思い出し、とにかく買ってみようという気になったんです。

でも、ロードバイクってその辺の自転車屋さんで売っていないし、何を買えばいいかも全然わかりません。そんな話を、家族ぐるみで付き合いのあったお宅に遊びに行ったときにたまたましたら、その人、「僕、ロードバイクで通勤してます」と言うんですよ。

松本:なんかBuckeyeさん、そういう人を引き寄せますよね。

井口:みたいですね。ちょうど、家の近所でロードバイクを買えそうなお店をネットでいろいろ調べてみたけどわからなくて、どこに買いにいけばいいんだろうと思っていたので、ご飯食べながらボロっとそんなことが出てきたんでしょう。で、続けて、「じゃ、これから行きましょう」ってことになって。

齊藤:えー、すごい。

井口:それで、いまも付き合いのあるお店に行って、その場で選んで買いました。最初に「どこのメーカーがいいとかありますか」「国産とか、イタリア車がいいとかアメリカのあれがいいとかありますか」「いや、なにもわかりません」というやりとりをしたくらいなにもわかっていなかったんですが、私は山の家があって山に持っていきますし、飛ばして走るよりは自然の中、山の中を走りたいというのがあって、そういうイメージで組んでもらいました。

その後レースも走って世界選手権なんてものにも出たりするようになったわけですが、実はいま乗っているバイクもロングライド用で、レース用じゃありません。ブリヂストンサイクルが出している「アンカー」というブランドのRL9。LはラグジュアリーのL。レース用はスポーツのSがつくRS8とRS9があり、「Sじゃないんですね」と自転車レース仲間にはびっくりされます。RL9はL系最上位のモデルでレースにも対応できると、一応はうたわれていますけどね。

アンカーの営業をやっている元オリンピック選手の方にレースやなんかでお世話になっているんですが、その方と話をしていて、「次に買い換えるときはRSに乗ってみようかなと思うんですけど」「いや、君の走りだったらこっちのほうがいいと思うよ。こっちのほうが安いし」と言われて。営業の人間が安いほうを勧めるのかという話なんですけど、でも、脚力の問題などあれこれ考えて、純粋にそう思うということなのでしょう。

「運動は仕事だと思え」

松本:自転車を始めたきっかけもすごくおもしろいですね。

井口:まあでも、買っても最初の1年ほどはいまいち乗れなくて、飾っている感じになっていました。で、それをなんとかしようと、ロードバイクをセットして屋内で乗れるようにするローラー台を買いました。外に乗りに行くって、天気の問題とかあって、なかなか難しいんですよ。

松本:そういうタイプの自転車って、慣れないと最初は乗るのが大変なんでしょう。

井口:私は特に気にならず乗れてしまいましたが、大変らしいですね。最初から割と本格的なものを組んでもらっちゃったので、お店の人にも、「大丈夫ですかね」みたいなことは言われました。できましたと連絡をもらって受け取りにいったときも、「ちょっとそこの裏道で乗ってみますか」と言われても、「すいません、ギアチェンジはどうやるんですか」というところからだったくらいで。

実は、このころ、「運動は仕事だと思え」と妻に言われました。「暇になったらもうちょっと運動するとかよく言うけど、あなた、暇にならないじゃない」と。だから運動は仕事だと思ってやれと。

松本:それ、名言ですね。

井口:仕事だから、何曜日と何曜日の何時から何時は運動するとか、まず時間を割り当てる。これは先約の仕事で、それ以外でできる量の仕事を受ける、というふうに考えないと、結局運動なんてできないと。

松本:たしかに、時間ができたらやろうと思っていたらできないですよね。

井口:そう言われた数カ月後に、玄関で靴ひもを片方結んだらお腹がつかえて息ができなかったわけです。結んでいる間は息ができず、一度体を立てて何回か息をしてからもう片方を結ぶようにしないとダメ。両方続けて結んだら酸欠で倒れそうなほど。さすがにまずいと思いましたね。

それで、とにかく1日1時間でもいいからと必ず乗るようにしました。外に1時間乗りに行こうとすると天気の問題がありますし、1時間じゃすぐ近くしか行けないしで、全然おもしろくありません。そんなこともあって、ローラー台を買ったわけです。

齊藤:ランニングマシンみたいなやつですよね。

井口:そうです。そのときに買ったのは、前後輪とも回って実際に走っているのに動かないというタイプでした。左右にはふらふら動くので、ちゃんとバランスを取らないと乗れないんです。

屋内でロードバイクに乗るために導入したローラー台

松本:じゃあ、体感が鍛えられるんですね。

井口:そうなります。あと、前にテレビを置き、映画などを観ながら乗れるのもローラー台のメリットです。

気をつけなければならないこともあります。最初のころ、『トップガン』を観ていて、空中戦で突っ込んで来る敵機を避けようとしてしまい、ローラー台から落ちてしまったことがあります。それからは、画面と運動をちゃんと切り分けなきゃいけないと気をつけるようになりました。

自転車で15㎏減量

井口:そんな形で乗りはじめたら1週間に1kgずつ、10週間で10kg体重が落ちました。

齊藤:すごい。

井口:ものすごい勢いで落ちましたね。80kg近くあった体重が70kg弱まで。

松本:それには、毎日のように1時間ぐらい乗っていたんですか。

井口:ほぼ毎日です。週末は外に出て乗ったりもしていたかな。

松本:たまには外を走らないとね。

井口:そうですね。天気が良ければ週末は外で、平日は1時間くらい映画などを観ながら必ず乗るようにしていました。

松本:「運動を仕事と思え」という言葉を今日いただきましたよ。

井口:ご飯の量は、運動を始めたのでやっぱりちょっと増えたんですけどね。

松本:Buckeyeさんはよく召し上がりますもんね。でもそれだけ体を動かしているから太らないんですね。

井口:結局使っちゃうので。

松本:エネルギーになっているんですね。

井口:自転車って1日走ると4000~5000キロカロリーなど、普通の生活の1日分以上を消費しますからね。とにかく、走っているのも楽しく感じましたし、そうやって痩せてくると走りもよくなりますし、いままで以上に走れるようになって、それがまた楽しいし、行けるところも増えるし、と好循環に入りました。

松本:競技会などに出るともっと楽しいですよね。

井口:そうですね。体重は、結局、78kgから1年間で15kg減りました。さきほども話したように、最初の10kgは10週間で落ちました。そうなると体脂肪もかなり減って落ち方が遅くなりましたが、1年後には63kgになりました。そのあとは筋肉がついて、一時期65~66kgまで増え、最近また年のせいか体重が少しずつ落ちつつあるところです。自転車は有酸素運動なので痩せやすいようです。

松本:私はテニスをやっているんですけど、テニスって痩せないんですよ。

井口:意外と動かないですよね。瞬発力で動くときは動くけど。

松本:年とともにだんだん省エネテニスになってきて、いかに動かないで勝つかになっちゃうからダメなんですよ。

自転車を始める前(2013 年お正月)
始めた後(2013 年 6 月の結婚記念日)
最終的には「翻訳の力」が物を言う

松本:最後にBuckeyeさんから、これから翻訳者を目指している方々、また現役の翻訳者のみなさんに何かメッセージがありましたらお願いします。

井口:翻訳者という以上、翻訳する力が一番大事だと、私は思います。翻訳が上手なだけではダメだとか、翻訳以外のところでもいろんなことがあるというのも事実ですけど、他が全部同じで、 翻訳の上手な人とそうでもない人を並べて「どっちにしますか」と言われたら、当然、うまい人に頼みますよね。

だから、最後の最後はやっぱり翻訳の力が物を言うと思います。そして、その力をつける努力をしていくのが、翻訳者として一番幸せになれる道じゃないかと思います。

翻訳の力さえしっかりしてれば、展開の方法はいろいろありうるし、やり方は選べます。でも、その力がないと選べる範囲がぐっと狭くなってしまいます。翻訳の力があれば儲かる分野に移るのもありだろうし、このくらい稼げればいいと思うレベルまで仕事時間を短くして、時間を他のことに使うという選択もできる。仕事以外のことに時間を使わなきゃいけなくて仕事の時間はこれしか取れないという時期が人生にはあったりしますが、そういうときも、「でも、あの人は上手だからやっぱりお願いしよう」という話になったりします。そういうあたりを狙っていくのが長い目で見るといいんじゃないでしょうか。

ただ、何をもって実力というかは、なかなか難しいところでもあります。いろいろな人がいろいろなところでオープンにしてくれていますし、翻訳フォーラムでもそういう話をシンポジウム中心に毎年やったりするので、そのへんで把握していただいて、翻訳の力をつける、そこに向かって努力するのが個人的にはおすすめです。

松本:ありがとうございます。Buckeyeさんのお話にも出てきましたけど、やっぱり横のつながりって大事じゃないですか。たとえば翻訳者同士で仕事を紹介するというときに、それこそ実力がないと紹介してもらえないし、自分が紹介した人の実力がないと、それもまた成立しないし。結局、常に自分のクオリティをキープしておかないと、いくらマーケティングがうまくいって商品が売れたとしても、その商品がダメだったらもう二度と売れないじゃないですか。

井口:リピートにならないんですよね。

松本:1回だけで終わっちゃって、全然広がらないんですよね。

井口:それは意味がないです。

松本:だから、まずはクオリティですよね。

井口:そうですね。一に品質、二に品質です。

松本:ありがとうございます。これで終わってしまうのは寂しいですが、このあたりで締めたいと思います。皆さん、ありがとうございました。

井口:ありがとうございました。お疲れさまでした。

(「Kazuki Channel」2021/09/12より)

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←第9回:専業翻訳者としての基本方針を決めて開業

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←第14回:JTFの理事に就任。仕事場を再び自宅へ戻す

←第15回:出版翻訳をてがけ始める。リーマンショックでは大きな打撃

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←第17回:スティーブ・ジョブズの公認伝記を翻訳

←第18回:出版翻訳主体に舵を切る

◎プロフィール
井口耕二(いのくち・こうじ)a.k.a. Buckeye
翻訳者(出版・実務)
1959 年生まれ。東京大学工学部卒業。オハイオ州立大学大学院修士課程修了。大学・大学院の専門は化学工学。大学卒業後は大手石油会社に就職、エンジニアとしてエネルギー利用技術の研究などをしていた。会社員と翻訳者の二足のわらじを経て 1998 年にフリーランスとして独立。守備範囲は医薬生物を除く工学全般およびビジネスの英日・日英。翻訳作業は自作の翻訳支援環境 SimplyTerms(公開)で行う。 2005 年からは出版翻訳もてがけている。翻訳フォーラム共同主宰。2002~2016 年 (社)日本翻訳連盟(JTF)理事。かつてはフィギュアスケートの選手(シングル、アイスダンス)で、現在は自転車ロードレースにはまっている。訳書に『イーロン・マスク』上下(文藝春秋、2023年)、『スティーブ・ジョブズ』I、II(講談社、2011 年)、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(日経 BP 社、2010 年)、『リーダーをめざす人の心得』(飛鳥新社、2012 年)、『PIXAR』(文響社、2019 年)、『ジェフ・ベゾス』(日経 BP 社、2022 年)など、著書に『実務翻訳を仕事にする』(宝島社、2001 年)、共著書に『できる翻訳者になるために プロフェッショナル 4 人が本気で教える 翻訳のレッスン』(講談社、2016 年)がある。著書『「スティーブ・ジョブズ」翻訳者の仕事部屋 フリーランスが訳し、働き、食うための実務的アイデア』ももうすぐ刊行になる。

◎インタビュアープロフィール
松本佳月(まつもと・かづき)
日英翻訳者/JTF ジャーナルアドバイザー
インハウス英訳者として大手メーカー数社にて 13 年勤務した後、現在まで約 20 年間、フリーランスで日英翻訳をてがける。主に工業、IR、SDGs、その他ビジネス文書を英訳。著書に『好きな英語を追求していたら、日本人の私が日→英専門の翻訳者になっていた』(Kindle 版、2021 年)『翻訳者・松本佳月の「自分をゴキゲンにする」方法: パワフルに生きるためのヒント』(Kindle 版、2022 年)。

齊藤貴昭(さいとう・たかあき)Terry Saito
実務翻訳者
電子機器メーカーで 5 年間のアメリカ赴任を経験後、社内通訳翻訳に 5 年間従事。その後、翻訳会社にて翻訳事業運営をする傍ら、翻訳コーディネーター、翻訳チェッカー、翻訳者を 10 年経験。現在は、翻訳者としても活動。過去の翻訳祭では、製造業でつちかった品質保証の考え方を導入した「翻訳チェック」の講演など多数登壇。
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